歯ぎしり・食いしばりのセルフチェック
- 日常生活の中で食いしばっていることにふと気づくことがある
- むし歯や歯周病の治療をしているのに、なかなか良くならない
- 朝起きたときに顎が重い、痛い、張っていると感じる
- 歯が全体的にすり減ってきている
- 咬筋(顎の筋肉)が張ってきた、エラが目立つように感じる
- 冷たいものがしみる知覚過敏があり、それが複数の歯にある
- しっかり寝たはずなのに疲れが取れない、朝スッキリ起きられない
- 歯が根元から割れてしまったことがある
- 偏頭痛が頻繁に起こる
- 歯が欠けたことがある
- 治療した歯の詰め物がよく取れる、割れるといったトラブルがある
- 家族やパートナーから、歯ぎしりや食いしばりを指摘されたことがある
- 無意識に頬や舌をかんでしまうことがある
歯ぎしり食いしばりは全身の健康に悪影響を及ぼします
歯ぎしりや食いしばりは、日常生活で気づきにくい「無意識のクセ」です。しかし、その影響は想像以上に大きく、歯や顎だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼします。一晩の歯ぎしりによる負荷は、日中の咀嚼(そしゃく)を一生分まとめたほどともいわれるほど、歯や歯茎、顎関節に大きなダメージを与えることがあります。通常、歯と歯が接触する時間は1日あたりわずか20分程度ですが、歯ぎしりをする人では1~2時間にも及び、しかも強い力で歯をこすり合わせているため、想像以上の負荷がかかっています。
歯ぎしり食いしばりを放置するリスク
顎関節症を引き起こす可能性がある
歯ぎしりや食いしばりによって、顎まわりの筋肉が慢性的に緊張すると、顎の関節に過度な負担がかかります。その結果、顎関節内部にあるクッションの役割を果たす関節円板が圧迫され、顎関節に痛みや違和感が生じます。「シャリシャリ」「コキコキ」「ポキポキ」「ガクッ」といった音が鳴る、口が開きづらいといった症状が現れる場合は、顎関節症の疑いがあります。
歯が割れたり欠けたりするリスクがある
過度な力が歯に長期間かかると、歯が欠けたり割れたりするリスクが高まります。特に神経を抜いた「失活歯」は脆くなっているため、根元から破折してしまうこともあります。歯根破折を起こすと、激しい痛みとともに抜歯が必要になり、歯を失うことになりかねません。
歯周病の悪化を招く
歯が揺さぶられることで、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収されやすくなります。これは、草を引き抜くときに揺らすと簡単に抜けるのと同じ理屈です。歯ぎしりを続けると、歯がぐらつきやすくなり、歯周病の進行を加速させてしまうリスクが高まります。
頭痛や肩こりの原因になる
歯ぎしりは、咀嚼筋の一つである側頭筋に過度な緊張をもたらし、それが頭痛の原因となることがあります。また、顎とつながる首や肩まわりの筋肉も影響を受けるため、慢性的な肩こりや首のだるさを訴える方も少なくありません。
エラが張って顔が大きく見えることがある
無意識のうちに食いしばる習慣があると、咬筋が過剰に発達してしまい、いわゆる「エラ張り」の状態になります。フェイスラインが角ばって見えることで、顔が大きく見える印象を与えてしまうこともあるため、美容面でも無視できない問題です。
歯ぎしり・食いしばりの治療法
スリープスプリント療法
スリープスプリント療法は、就寝中の歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を守るためのマウスピース(ナイトガード)を使用する治療です。このナイトガードは患者様一人ひとりの歯列に合わせて作製されるため、違和感が少なく、装着中も自然に眠ることができます。素材は柔らかいタイプから硬めのタイプまで選べ、症状や目的に応じて最適なものをご提案いたします。
ボツリヌストキシン療法
歯ぎしりや食いしばりの主な原因のひとつに、「咬筋(こうきん)」と呼ばれる噛むための筋肉の過緊張があります。この咬筋にボツリヌストキシン製剤を注射することで、筋肉の動きを一時的に抑制し、過剰な噛む力をコントロールするのが「ボツリヌストキシン療法」です。
スポーツマウスピース作製
スポーツ中の歯や口腔内のケガを予防するために欠かせないのが「スポーツマウスピース(スポーツマウスガード)」です。特に激しい衝突や転倒が起こりやすい競技では、選手の安全性を高める重要な装置として位置づけられています。アメリカンフットボール、ボクシング、ラグビー、ホッケーなどでは装着が義務付けられており、野球やバスケットボール、レスリングなど幅広い競技でも推奨されています。市販品も手軽に入手できますが、既製品ではフィット感に乏しく、ズレや脱落が起こりやすいという欠点があります。その結果、顎関節への負担や集中力の低下につながる恐れもあります。当院では、患者様一人ひとりの歯型に基づいたオーダーメイドのマウスピースを作製しています。